データセンターの省エネ化は喫緊の課題。PDUが果たす役割とは?

データセンターの省エネ化は喫緊の課題。PDUが果たす役割とは?

ITサービスの普及によりデータセンターの需要が拡大する中、消費電力や温室効果ガスの排出量が多いという課題が重要視されるようになりました。電源の供給に欠かせない設備・PDUがどのように省エネ化を助けるのか、課題に取り組む重要性とともに解説します。

需要が高まるデータセンター

近年はデータセンター(DC)の需要が高まっており、その市場は急速に拡大しています。データセンターの運用に関わる予定の担当者は、まず現状を把握しておく必要があるでしょう。市場成長の理由や、処理するデータ量の増加に伴って普及するハイパースケールデータセンターについて解説します。

データセンターの市場が成長している背景

データセンターの市場が拡大している要因として大きいのは、クラウドサービスの需要拡大です。

COVID-19感染拡大により、人々のライフスタイル・ワークスタイルは大きく変化しました。テレワークや非接触・非対面サービスの需要増により、クラウドサービスは生活に欠かせないものとなっています。

クラウドサービスを含むITサービスの実現に不可欠な設備が、データセンターです。ベンダーは堅牢なデータセンターにサーバーを設置し、安定したサービス供給を実現しています。

ハイパースケールデータセンターの普及も

IoTの普及や5G・AIの導入により、年々ITサービスで扱うデータ量は増え続けています。そこでニーズが高まってきたのが、「ハイパースケールデータセンター(HSDC)」です。

HSDCとは名前の通り、一般的なデータセンターと比べて延床面積や設備が大きな設備を指します。

データセンターでは、多数のサーバーやネットワーク機器をラックに収容し、管理しています。処理するデータの量が多くなれば、それだけサーバーの数も必要です。

HSDCは「AWS(Amazon Web Services)」や「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」といったメガクラウドへの貸出を前提に作られています。大電力の確保や低レイテンシ(通信の遅延が非常に少ないこと)を実現できるのが、HSDCの特徴です。

データセンタービジネスの課題に取り組む必要性

人々の暮らしやビジネスに欠かせないデータセンターにも、消費電力量や排出する温室効果ガスが非常に多いという課題があります。省エネに取り組む必要性を、重要政策としてデータセンターの脱炭素化が取り上げられている背景とともに見ていきましょう。

消費電力量が増えれば運用コストもかさむ

ハイパースケールデータセンター(HSDC)のニーズが増える中、データセンターの消費電力は国内の電力消費量を増やす一因とされるようになりました。

データセンターでは、ラックに搭載された大量のサーバーを常時稼働させるために、多くの電力が必要になります。消費電力は設備の規模と比例して増加するので、HSDCではさらに大きな電力が必要です。

処理するデータ量は今後も増えていくと予想されるため、何らかの対策をとらなければ消費電力は増える一方でしょう。必要になる電力が多ければ当然、運用コストも大きくなります。膨大な消費電力が環境に与える影響も考えると、省エネへの取り組みは急務といえます。

国外のデータセンターに利用が流れる可能性も

日本政府が掲げる重要政策の一つが「データセンター脱炭素」です。データセンターの運用に伴って排出される温室効果ガスの削減、脱炭素化が求められています。

そもそも日本の電源構成に占める再生可能エネルギーや水力発電の比率は、ドイツやイギリスといった他の先進諸国と比較として低い状態です。データセンタービジネスも例外ではなく、再生可能エネルギーの活用という面で国際的に後れを取っている現状があります。

温室効果ガスの排出問題に取り組もうという流れは今後、日本企業の間でもますます加速するでしょう。しかし、データセンター側がこのまま何の対策も取らなければ、国内企業が再生可能エネルギーを使っている国外のデータセンターを使うようになる可能性もあります。

とはいえ、安全保障の観点から、重要なデータを国外のデータセンターに置くよう推奨するわけにもいきません。そこで政府は国内のデータセンターの活用を推進できるよう、データセンタービジネスにも省エネ化と再生可能エネルギーの活用推進を求める政策を掲げ、本格的に取り組み始めたのです。

データセンターの省エネ化に役立つ「PDU」

データセンターの省エネ化は運用コストの削減だけでなく、環境問題の改善にも貢献します。データセンターの運用で消費電力のカットに一役買うのが、PDUです。PDUの役割や、省エネ化に役立つ高機能なPDUの効果を紹介します。

PDUとは

PDU

データセンターでは、多数のサーバーやネットワーク機器をラックに収容し、運用しています。ラックに収容されるサーバーをはじめ、IT機器に電力を供給する役割を担っている機器がPDUです。

PDUとはデータセンター設備の一つで、「Power Distribution Unit(電源分配ユニット)」の頭文字から名付けられています。

形状は0U(ゼロ・ユー)と呼ばれる2m程度の大型電源タップから、1U(ワン・ユー)と呼ばれる19インチラックに設置できるものまで多様です。

無駄な電力供給を把握できるPDUも

一口にPDUといっても、その機能は製品によってさまざまです。中には、PDUに接続された機器の電流・電圧などを計測し、外部表示するといった付加機能を持つ製品(インテリジェントPDU)もあります。

計測機能付きのPDUを導入すれば、消費電力を「見える化」し、無駄な電力消費を見直すことが可能です。データセンターの省エネ化を考えるなら、電力量の管理に役立つインテリジェントPDUを導入するのがよいでしょう。

次のコラム→「インテリジェント PDU とは」

PDU導入の相談は明京電機へ

明京電機が扱っているVertiv/Geist PDUは、ベーシックな製品から高機能なPDUまで幅広いラインナップをそろえています。

IMD(Upgradeable Interchangeable Monitoring Device)と呼ばれるインテリジェント機能を備えたパーツを交換することで、アップグレードできるのが特徴です。例えば、最初は予算を抑えた導入にとどめ、運用の状況次第でインテリジェント機能を追加したいというケースもあるでしょう。

他メーカーのPDUは基本的に、インテリジェント機能が必要になるとPDUそのものを買い替えなければなりません。PDU自体の交換作業中には、一時的にサービスをストップせざるを得ない場合もあります。

Vertiv/Geist PDUは、IMD部分を交換するだけでインテリジェント機能を持ったPDUへのアップグレードが可能です。ホットスワップ(電源を落とさずにパーツを交換できる仕様)となっているため、IMDを交換する作業は電源の状態に影響を与えません。データセンターにとって大きな問題となるダウンタイムを防げます。

Vertiv-Geist PDU製品紹介はこちら

 

Vertiv社の一次代理店である明京電機は、インターネット黎明期から電源制御装置の開発に取り組んできました。たしかな技術力をもとに、PDUに関しても万全のサポートを用意しています。導入するPDUの選定に悩んでいる場合は、ぜひお問い合わせください。

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