リモートデスクトップのPCを遠隔起動するには?WoL機能の使い方
テレワークに役立つリモートデスクトップ
リモートデスクトップはテレワークの環境整備に役立ちます。どのような仕組みを指すのかを押さえておきましょう。導入するメリットやデメリットも併せて解説します。
離れた場所にあるPCを操作する機能
「リモートデスクトップ」とはWindows10に搭載されている機能です。離れた場所にあるPC同士をネットワークでつなげば、接続先のPCのデスクトップを手元の端末から遠隔操作できます。
自宅などでのテレワークでもリモートデスクトップ環境が構築されていれば、出社しているときと変わらないPC環境で業務を進められるのが特徴です。
リモートアクセスツールを使って社内サーバーにアクセスする方法もありますが、セキュリティ保持のためにはVPN(Virtuai Private Network)環境の構築・通信の暗号化が欠かせません。
リモートデスクトップではサーバーに接続するのではなくPC画面を直接操作するため、VPN環境がなくてもアクセスできます。
取り入れるメリットとデメリット
リモートデスクトップのメリットとして、操作するPCの性能は問われないという点が挙げられます。接続先のPCが高性能であれば、手元にあるPCのスペックが低くても問題はありません。テレワーク用に高性能な端末を用意する予算がない場合も、手軽に導入できます。
社外で使うPC用に新しくソフトを導入する必要がなく、経費削減につながるのも魅力です。操作する側の端末にはデータが残らないため、情報漏えいのリスクも低減できます。
ただし社内にあるPCの電源が切れていると、起動させるためだけに出社するという事態にもなりかねません。しかしリモートデスクトップ環境のためだけに常時PCの電源をONにしておくのは、電気代がかさむ上に安全面でのリスクもあります。
リモートデスクトップを導入する際は、社内にあるPCを遠隔で起動させられる環境づくりが必須といえるでしょう。
遠隔操作でPCを起動する方法
リモート操作でPCを起動できれば、電源を入れるためだけに出社する手間を省けます。PCの起動に使われる「WoL」の仕組みや有効化の方法、遠隔地から起動する手段を見ていきましょう。
WoL機能を有効化する
WoL(Wake On LAN)は、近年販売されているPCのほとんどに標準装備されている機能です。WoLを有効にしたPCは「マジックパケット」と呼ばれるパケットデータを有線LAN(または無線LAN)で受信することにより、起動するようになります。
電源が落ちてシャットダウンした状態のPCでも、WoL機能を有効にしていればマジックパケットの送信によって起動させられるのです。
WoL機能を使うにはまず、遠隔起動したいPCにマジックパケットでの起動を許可させなければなりません。
デバイスドライバのプロパティ画面にある「電源の管理」タブを開き、「このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」にチェックを入れます。この表記が問題なく表示されていれば、マジックパケットでの制御が可能な端末です。
ただし機種によっては詳細設定の中に「Wake on Magic Packet」などの項目として用意されている、項目自体がないといったものもあります。事前に確認しておきましょう。
遠隔地のPCにマジックパケット送る方法
WoL機能を有効にしただけでは、ルーターを経由して接続している遠隔地のPCを起動できません。どのようにマジックパケットを遠くの端末に送るかが、リモート起動をする上で最大の問題となるでしょう。考えられる方法は以下の三つです。
1. PCと同一のLAN上にサーバーを立てる
2. 高機能なルーターを利用する
3. WoL専用装置を設置する
サーバーを設置してログインすれば、そこからマジックパケットを送信できます。しかし専門的なスキルが必要になるため、技術者を持たない企業にとっては難易度が高い方法です。PCの電源を落とさないためだけにサーバーを用意すると、サーバー自体の維持費がかかりコストの面でも負担になり得るでしょう。
近年流通しているルーターの中には、起動したいPCのMACアドレスを登録しておけば、マジックパケットを送出できる製品があります。ただし現状では種類が限られており、まだスタンダードな方法とはいえません。
ハードルが低い方法としては、WoLのために作られた専用装置やシステムの利用が挙げられます。例えばリモートでのPC起動に特化した装置「Remote WOL」を導入すれば、WoLに接続されたPCの一括管理が可能です。NTT東日本が提供する「シン・テレワークシステム」では、サーバー側の設定をしておくことで、各社員が社外からPCを起動できるようになります。
WoLに対応している電源制御装置
マジックパケットを送出できる機能を持つ電源制御装置も、PCの遠隔起動に役立ちます。高度な技術を必要としないため、エンジニアを持たない企業でも取り入れやすいでしょう。快適なリモートデスクトップ環境の構築に役立つ製品を紹介します。
明京電機株式会社「RPC-M2CS」
PING監視によりフリーズした機器の状態をチェックして、自動的に再起動する「リブーター」です。リブーターはPCやルーター・デジタルサイネージといった電子機器が、最適な状態に保たれるように作られています。
例えばテレワークの要となるルーターがフリーズしてしまったときは、自動で状態を検知して強制的にリブート(再起動)します。
明京電機のリブーターは再起動だけでなく、メールの送信によってPCにWoL用のマジックパケットを送る機能も備えているのが特徴です。社内のPCにリブーターを接続しておけば、自宅や移動中にテレワークをしているときでもメールを送るだけで起動できます。
リブーターを使った起動であればルーターのポートを開放する必要がなく、セキュリティ面の不安が低減するのも魅力です。通常の電源タップと同様にPCやルーターなどの機器へつないで使用できるため、専門知識は必要ありません。
リモートからメールでPC起動!リモートアクセス支える遠隔電源制御装置リブーター
WoL機能で場所を問わないPC管理を実現
リモートデスクトップはPC画面を遠隔操作する仕組みで、テレワーク環境にも比較的手軽に導入可能です。テレワークにおけるセキュリティリスクの低減・運用コストの削減など、多くのメリットがあります。
しかし社外から端末の電源をコントロールできなければ、起動のためだけに出社するという事態を招きかねません。遠隔地からPCを制御するには、まずは端末側でマジックパケットの受信で起動するように「WoL機能」の有効化が必要です。
インターネットを通じて離れた場所のPCにマジックパケットを送る手段としては、サーバーの設置や高機能ルーターの利用・WoL専用装置の導入といった方法が挙げられます。
電源制御装置の中にもWoLに対応している製品がありますので、自社のニーズと照らし合わせてマッチする方法を選びましょう。テレワーク運用中の負担を減らすためにも、社外からPCを起動する環境整備が重要です。