IoT社会におけるITインフラのメンテナンスについて|明京コラム

IoT社会におけるITインフラのメンテナンスについて|明京コラム

IoT社会ともいわれる現代、サーバーのダウンやネットワーク障害は、人々の生活に直接的かつ深刻な影響を与える問題です。ITインフラの健全性は、現代において他の社会インフラと同様、高い基準が求められているといえます。

ITインフラの保守を考える上で、道路・鉄道・水道など、既存の社会インフラに対するメンテナンス体制はとても参考になります。社会インフラの課題や実施されている対策から、ITインフラのメンテナンスについて考えてみましょう。

社会インフラの課題や保全への取り組み

近年は道路や鉄道・水道といった、人々の生活に欠かせない社会インフラの老朽化が取り沙汰されています。日本では具体的にどのような課題があり、どのような取り組みが進んでいるのでしょうか。

日本が抱える「インフラ設備の老朽化」問題

日本では、高度経済成長期に構築したインフラが同時期に老朽化を迎えています。さらに技術者の高齢化が進み、障害が発生した後に対応する「事後保全」に多くのリソースを割けなくなってきている状況です。

社会インフラ老朽化に関わる課題は深刻な問題として認知されており、産学官においてさまざまな対策が講じられています。

特に国土交通省では、H24年の「笹子トンネル崩落事故」をきっかけに、戦略的・計画的な社会インフラメンテナンスへの取り組みが報告されています。

事後保全では十分に対応しきれなくなった中、注目されているのが「予防保全」への取り組みです。トラブルが起こる前に組織的・計画的に保全を行う「予防保全」を中心として、メンテナンス体制づくりへの取り組みが活発に行われています。

国土交通省で予防保全型のメンテナンスサイクルの確立を目指していることは、以下の参考資料からも分かるでしょう。

審議会・委員会等:第25回メンテナンス戦略小委員会(第3期第7回)配付資料|国土交通省
インフラメンテナンスにおける取り組むべき項目と当面の進め方(案)説明資料|国土交通省

「予防保全」から「予知保全」へ

「予防保全」では、故障・劣化といった問題の有無を問わず、計画に従い部品交換をはじめとした対応を実施します。そのため予算を固定しやすいのがメリットです。

しかし、トラブルが起きた後に対応する「事後保全」と違って故障しなくてもコストが発生するので、費用は高くなる方向になります。また、必ずしも交換の必要があるとは限らない中、コストをかけることに対しては抵抗感も生じるでしょう。

そこで、さらに進んだ考え方として注目されているのが「予知保全」です。予知保全とは名前の通り、故障やトラブルを予知して保全することを指します。国としての取り組みは多くないようですが、製造現場で使う機械については積極的に行われています。

故障やトラブルが起きる前でも、何らかのサインがある場合にのみ対応することで、無駄な費用やシステムを止める時間を削減できるのが「予知保全」の特徴です。ある意味、「事後保全」と「予防保全」の良いところを取った方法といえるでしょう。

ITインフラのメンテナンスに必要なのは「予知保全」

ネットワークやサーバーといったITインフラは、企業活動や人々の生活を支えるものです。問題が起こってから対応したのでは遅く、かといって予防保全として必要のないメンテナンスまで実施すると大きな支障が出てしまうでしょう。

ITインフラのメンテナンスには、事後保全と予防保全の良い部分をとった「予知保全」が必要です。ITインフラにおける予知保全とは何を指すのか、どうすれば予知保全ができるのかを紹介します。

ITインフラの予知保全とは

ITインフラに限らず予知保全のカギになるのは、「故障の兆候を確実にとらえること」です。そのためには、状態を観察した上で、情報を速やかに収集し正確かつ迅速に分析する仕組みが求められます。

この仕組みづくりにこそ、IT技術が用いられるのです。では、そのITインフラ自身の「予知保全」については、どんな取り組みがなされているのでしょうか。

社内LANを含めた大規模なネットワークシステムにおいては、SNMPマネージャーなどのネットワーク監視ツールを使って、リアルタイムでの状態把握や各機器の状態管理が行われてきました。これも予知保全といえます。

しかし、急速に発展しているインターネットを利用した各種サービスシステムを保守管理するにあたって「予知保全」を同様に実行するには、いくつかの課題が出てきます。

例えば、多くの場合、拠点側にはグローバルアドレスがありません。そのため、サーバーからのアクセスに制限が生じる、ルーターのポートを開放するとセキュリティ面が弱くなるといった問題が生じます。

クラウドサービスの普及が進む中、従来のようにネットワーク監視ツールを使う方法だけで予知保全が十分に行えるとはいえません。

ITインフラの予知保全を実現する「リブーター」

クラウドサーバーをはじめインターネットを利用したサービスの保全を行うには、拠点側に監視装置を置く方法が有効です。拠点側からの監視情報をサーバーにアップロードする方式であれば、グローバルアドレスの問題・ルーターのポート開放によるセキュリティ問題が解消されるからです。

例えば、弊社装置である「リブーター」を利用すれば、拠点内から複数のサーバーにPINGを実行し、応答時間を定期的に管理サーバーに送信することができます。応答時間を観察することで、障害の兆候を検知することが可能になるのです。

一部の「リブーター」に備えられた速度測定機能を利用して、ネットワークの応答速度を観察することによって、障害の兆候を発見する方法もあります。

デバイスによっては、「リブーター」による自動再起動が必要になるケースもあるでしょう。その発生場所や頻度から、さらなる問題発生に関する兆候を読み取れるといった期待もできます。

ITインフラに予知保全をかなえる仕組みは欠かせない

社会インフラの老朽化や技術者の高齢化が進む中、問題が起こる前に対応する「予防保全」、さらにはトラブルの兆候を踏まえて対応する「予知保全」の考え方が注目されるようになってきました。

ネットワークが欠かせないIoT社会においては、ITインフラの健全性もが他の社会インフラと同様に重要な課題です。予知保全をかなえる仕組みづくりは、今後ますます重要になるでしょう。

リブーターの導入をはじめ、ITインフラのトラブルを事前に察知できる体制を構築することで、トラブル対応や無駄なメンテナンスにかかる費用のカットも期待できます。

ITインフラの予知保全を実現する各種製品の動向にも注目しながら、強いITインフラづくりを進めていきましょう。

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